その１　「技術者不足に起因するもの」

本来、杭や地盤補強の設計は、元請けの建築士か元請けが委託する設計事務所の業務です。 ですが、建築士の中でも構造の専門家は僅かしかおらず、かつ地盤のことが分かる建築士は、更に希少な存在です。そのため、杭や地盤補強の設計は、私達のような工事業者がサポートして行っているのが実情です。

しかしながら、大半の地盤工事業者には建築士事務所の登録免許がなく、また技術者も在籍していないケースが少なくありません。

その2　「法律上の問題『４号特例』に起因するもの」

建築物は、建築基準法に基づき、その規模や構造に応じて1～４号に分類されています。 建物を建てる際に受ける建築確認審査で、1～3号までは構造計算が義務付けられていますが、主に木造２階建ての４号建築物には、構造計算が義務付けられていません。これを「４号特例」と呼んでいます。

この「構造計算を義務付けられていない」という事を「安全性の確認は不要」と都合よく解釈し、木造２階建てに限って、安全性の確認を怠っているケースが多々あるのです。

杭や地盤補強の設計においても同様の理由で、いい加減な設計を行っていたり、計算そのものを省いているケースが珍しくありません。

法律上、構造計算が義務付けられているか否かで、建物の安全性に差が生じてしまっているのが実情です。